「失楽園ブーム(不倫ブーム)とラブホテル」の事件ニュース

1997年11月

興信所の探偵を装ってラブホテル利用者から金を脅し取ろうとしたとして、埼玉県警捜査一課と東入間署は1997年11月、恐喝未遂の疑いで埼玉県川越市の無職の男(25歳)を逮捕した。

調べによると、この容疑者は1997年9月、埼玉県上福岡市内の会社員(46歳)に対し、「興信所探偵として依頼者から頼まれ、ホテルの密会現場を押さえました。平和な家庭を壊したくないので、現金10万円で取引していただけないでしょうか」という脅迫手紙を郵送した。指定した銀行口座に現金を振り込ませようとした疑い。

1997年9月中旬から埼玉県西部を中心に同様の被害届が相次いでいた。

この容疑者は、埼玉県や東京都内などのラブホテル前で張り込んだ。利用客の車のナンバーを控えては陸運事務所で照会して住所を割り出し、手紙を送り付けていた。1カ月半ほどの間に約200通を送付した。そのうち26人から約250万円の現金が振り込まれていた。

調べに対し、この容疑者は「『失楽園』ブームで不倫客が多いと思い、脅せば金になると思った。消費者金融の借金の返済に充てた」などと話しているという。

容疑者は勤め帰りの不倫が多いと考えた。そこで、夕方六時ころからラブホテル前でナンバーを控えていた。

しかし、手当たり次第に脅迫手紙を出していたため、差出先が従業員や婚約者同士だったり、夫婦もいた。

「身に覚えのない」人や、後ろめたくない人から被害届が出され、犯行が発覚した。(小山守生

三重県暴力団排除条例施行から1年

2012年4月8日、中日新聞

三重県警・組織犯罪対策課長 小林一夫さん(55) 青少年啓発も強化を

反社会勢力(反社会的勢力)の追放や拒否を促す「三重県暴力団排除条例」(暴排条例)が施行されてから2012年4月で1年がたった。暴力団への利益供与の禁止や青少年対策をうたっているが、市民自ら気をつけるべき点は何か。条例を運用する三重県警刑事部参事官組織犯罪対策課長の小林一夫さん(55)に注意点や手応えを聞いた。

ホテルの利用拒否

-条例の特徴は。

飲食店などが暴力団に支払うあいさつ料や、暴力団が襲名披露する際の旅館やホテルの利用など、反社会勢力への利益供与につながる行為の拒否に向けた対策推進を盛り込んでいる。ひと言で表現すると従来の「警察対暴力団」から「社会対暴力団」への転換を打ち出した。

暴力団員の預金口座開設、ゴルフ場の利用、不動産購入

-運用の状況は。

これまでに条例に基づく勧告を1件2人に出した。用心棒代を払った飲食店経営者と受け取った暴力団組長に対するものだ。企業からの相談も増加傾向にあり、暴力団員の預金口座開設、ゴルフ場の利用、不動産購入に関する内容が多い。

トラブル解決の謝礼

-市民の注意点は。どういう行為が条例に抵触するのか。

例えばトラブルの解決を暴力団に依頼し、謝礼を渡す行為はアウト。分かりやすく言えば、相手が暴力団であることを知った上で、何かを頼んだり金品をあげたりするのは抵触の恐れがある。

罰則や公表

-罰則対象は。

暴力団に金品を渡す行為は調査、勧告の対象となり、公表されることもあるので注意してほしい。学校など教育施設の周囲200メートルに暴力団事務所を開設すると1年以下の懲役、青少年を事務所に出入りさせる行為も中止命令に従わない場合は6月以下の懲役などに科せられる。

三重の暴力団の数

-暴力団情勢に変化は。

三重では33団体880人の暴力団を確認している。5年前に比べ、いずれも4割ほど減った。幹部の摘発や資金源の寸断に加え、条例施行による社会からの孤立化も効果を挙げているとみられる。今後は青少年が暴力団の世界に足を踏み入れないよう啓発を強化していきたい。

小林一夫

こばやし・かずお 四日市市出身。1977年に警察官に任官し、三重県警刑事部捜査2課や四日市南署刑事2課などで暴力団の取り締まりを担当した。鑑識課長や四日市西署長を歴任後、2011年3月から現職。